もう4ヶ月もこちらを更新していなかった。
たまには、ここに書いてみようと思う。
(気がついてくれる人が、いるだろうか?笑)
本、のことである。
昨年9月、函館の親戚を訪ねて両親とでかけた。
6つ年下の、親戚の女の子Mちゃんが、おめでたで、つわり真っ最中。
面倒をかけたくないので、ホテルをとった。
よく晴れた、まだ暑い9月のはじめ。
朝ホテルにやってきたMちゃんが、薄い包みを私に手渡す。
「本が入ってるの。モカに、読んで欲しくて・・・」と。
午後、ホテルの窓を開け放し、海風をいっぱいに吸い込みながら珈琲を飲む。
ふと、Mちゃんの置いていった本の包みをあける。
絵本だった。
ページをめくる。ただ、なんとなく。なんの気構えもなく。
心臓が凍る。
最初の1行、たった、その1行に、心臓が凍る。
『私のお墓の前で 泣かないでください』
読むのを、やめようかと迷う。
そのあと、こう続く。
『そこに私はいません 眠ってなんかいません』
涙が、ぼろぼろ落ちてくる。
彼女は、わかっていたのだ。やはり。
2年前、おとうとが急逝したとき、彼女は真っ先に駆けつけた。
おとうとが初恋の人だった、という彼女は、泣いて泣いて
そして、葬式すべてが終わるまで、身の回りの全てをやってくれた。
彼女は、その数年前、最愛の母を亡くしている。
私が、第二の母と慕った彼女の母。
だから、私たちは姉妹のように育った。彼女の一家が函館に引っ越すまで。
亡くした存在の、大きな穴。無とも言える、その後の日常。
枯れない涙。できない、「あきらめる」という行為。
2年経って、「元気だよ」と、電話で笑い話をしたり
こうして、会って、いろんな冗談を言ったり・・・・
私は、隠していられると思っていた。
けど、彼女は自分の身をもって、その経験から知っているのだ。嫌というほど。
本の内容は、こう続く。
『千の風に 千の風になって あの空を吹きわたっています』
言いたい、けれど、言えない言葉を、彼女はこの絵本から伝えてきた。
あきらめられない、けど、あきらめなさい。
いつまでも、お墓の前で、泣いていてはいけない、と。
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11月末、私は誕生日だった。
友人が食事会を開いてくれて、たくさんのギフトをもらった。
その中の友人Hが、小さな包みを手渡して言う。
「これは、本。家に帰ったら、開けてね~」と。
家に帰って、何気なしに、上機嫌のまま包みを開ける。
表紙を見て、心臓が凍る。
また、だ。同じ本だ。
友人Hは、私がおとうとを亡くした2ヶ月後、母を亡くしている。
ともに、泣いた。痛みに、泣いた。
同じ境遇、同じ気持ちを持つ人たちが、こぞって私にこの本を差し出す。
私を想うがゆえ、私を救いたいがゆえ
もう、泣くな。もう、痛がるな。もう、時は経っている、と。
私はHに、この傷は見えていないと思っていた。
嘘ではない。上手にやってきたと思っていたのに。
私の2年は、芝居のようだったというのか?
とても・・・・・、落ち込んだ夜だった。
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最近では、もう、この本のことをたくさんの人が知っているらしい。
なんか、歌?もあるのだとか。(私をそういうのに、うとい)
私がもらったのは
講談社 原詩・作者不詳 日本語詩・新井 満
『千の風になって』
ふたりに渡された、ふたつの同じ想いをもつこの本。
私を想う、ふたりの心に、応えたい。
けれど、やはり、まだできない。
わからないのだ。
どうしたらいいのか。
それが、正直な気持ち。
自分の悲しみのために、涙を落とすのは、もうずうっと前にやめたのだし。
ただ、ただ・・・おとうとを想って、流れる涙は
もう、いけないものなのだろうか。
生きていくのに、邪魔になるのだろうか。
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あの冷たい夜の、耐え難い、終の孤独。
あの瞬間より、怖いものなど、この先、生きていく上でないのだと
どんなことも、もう、耐えられると思って
弱虫な自分が、覚悟を手に入れたと、あの夜は無駄ではないのだと
本当にそう感じているのだけれど。
私は、おとうとに覚悟というものを貰った。
感謝している。
そして、明日、は必ずもないかもしれないのだと
愛する人に、言いたいことを、確実にその瞬間に届けないといけないと
教わった。
だから、あきらめろ、と、忘れろと、言わないで。
できない。できないから。
でも、ありがとう、と、心からそう思う。
時間はかかるだろう。
でも、きっと。だいじょうぶ。
おとうとが風になったなんて、とっくに知ってる。
私は、おとうとは空になったのだと、思っている。ずうっと前から。
でもね、お墓を作りなおしたときに
もう1度、掘り出されたおとうとの骨箱。
くるまれた白い布に、真っ赤に染み出たあの血。
母に見せまいと、咄嗟に布を隠したけれど
あの赤い鮮やかな色が、この目について離れない。
お骨から、血が出るの?どうして?
一度手放したはずのおとうとを、再び胸に抱いたとき
その重さに、お骨になったというのに、その重さに
どれだけ、手が震えたか
誰にも言わなかったけど、言えなかったけど。
悲しいのは、私じゃない。おとうとなんだ。
その気持ちは、変わらない。
でも、必ず見つける。
折り合い、という、形を。
待っていて欲しい。
あの、函館のホテルの海風吹く午後。心地よい、時間。
誕生日の夜の、寂しくて嬉しい感じ。忘れない。
そこで泣いてた私と、今日の私はもうすでに少し違っているはずだからね。